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日本歯科大学歯学部 献体30年

 

日本歯科大学歯学部

 

日本歯科大学歯学部への献体登録者第一号は、昭和39年8月に白菊会日本歯科大学支部に入会されている。しかしその後、累計で50名となったのが昭和48年、100名に達したのが昭和55年と、献体登録者の増加は遅々たるものであった。
現在、本学学長の、解剖学教室第一講座佐藤亨主任教授が、昭和52年に本学に赴任した時は、300余名の学生に、解剖学実習用の御遺体がわずか2体。この母校の実習風景を目にして、涙を禁じ得なかったそうである。それを契機に、佐藤教授の、関連団体、官庁、施設への啓蒙運動が始まった。都内の各警察署、福祉事務所、老人ホーム等を廻るが、すでに他大学との連携ができていて、なかなか入り込む余地がなく、しかも、「歯科大学」ということもあって、解剖の話を切り出すと、「えっ、歯科大学でも人体解剖をするのですか?」とか、「このパンフレットには医学教育のため、とありますが、歯学部にもあてはまるのですか?」と、問い返されることが、しばしばであったという。しかし、そうした官庁・病院への訪問・説明、老人ホームでの講演会や説明会などが回を重ね、理解を得るようになるとともに、献体登録に積極的に協力して下さる機関も少しずつ増え、また、会員からの紹介、いわゆる口コミによる紹介も増えて、現在、会員数382名、累計で783名(平成8年3月31日現在)、別に、大学に直接登録されている会員が45名となり、実習用の御遺体も2年分を確保するにいたっている。さらに佐藤教授は、白菊会副理事長(元職)、篤志解剖全国連合会理事、日本篤志献体協会常務理事等の役職に就いて、人体解剖学教育、医の倫理教育の発展・向上や、それらにおける特に、歯学の位置付け等に努力し、その実績は、献体パンフレットや、さらには文部大臣感謝状の「医学・歯学教育」の文字にみることができる。
また、解剖学教育、献体活動には、中原爽理事長をはじめ、大学側の全面的な支援をいただいており、今日を築く大きな要因となっている。昨年(平成7年)篤志解剖全国連合会創立25周年記念総会、20周年記念団体部会研修会が、3月30,31日の両日にわたって、本学を会場にして開催されたが、この行事も、会場・運営等すべてにわたる大学のバックアップにより、成功に終わらせることができた。
なお、最近各団体・大学で、専用墓地の問題が論議されているが、本学は、昭和38年2月に、神奈川県川崎市生田に大学墓地を購入。ここが一杯となったため、さらに昭和52年8月に、間口3m、奥行き5mで、約200柱収納可能の、大きな新墓地を購入したが、ここもすでにスペースが不足し、今後の対応に苦慮している。この新墓地スペースの問題も、かつては思いもつかなかった悩みであり、御遺骨のお返しまでに、長期間かかってしまうという、返還時期の問題とも併せ、本学の献体活動も、次のステージに入った、との認識を新たにしている。

 

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